事業譲渡
事業譲渡は、一定の事業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産の譲渡であり、会社資産や従業員などを譲渡します。ただし、原則として債務は引き継ぎませんので、債務を含めた契約関係を承継させるためには、契約の相手方の同意が必要です。
また、債務超過の企業における事業譲渡には、以下のようなリスクもありますで、十分な注意が必要です。
まず、詐害行為取消権を行使されるリスクがあります。債務超過状態にある企業が、事業譲渡により財産を譲渡すると、その譲渡自体が総債権者を害する行為として、詐害行為に該当する可能性があるということです。
次に、事業譲渡をした会社が破産した時に、破産管財人に否認権を行使されるリスクがあります。破産直前などに事業譲渡がされると、その事業譲渡を否認され、譲渡された資産を取り戻さなければばらなくなる可能性があります。
また、事業譲渡において、事業の全部の譲渡、重要な財産の全部又は一部の譲渡を行う場合には、株主総会を開いて承認を得なければならないため、株主総会で事業譲渡に対して反対されてしまうリスクがあります。
しかし、これらのリスクは、破産手続や民事再生手続内であれば解消することが可能です。法的手続内での事業譲渡であれば、詐害行為も否認も問題となりません。また、破産手続きであれば、管財人が株主総会を開かずに事業譲渡ができますし、民事再生手続では、株主総会を開かないでも裁判所の許可による事業譲渡が可能です。
したがって、事業譲渡にリスクがある場合には、破産手続きや民事再生手続きなどの法的手続きを選択することにより、リスクを回避することが可能となります。
事業譲渡で事業再生をお考えの場合には、必ず法的リスクを検討する必要があります。法的リスクの検討が不十分ですと、何か問題が発生してしまい再生が思うように進まない場合もありますので、必ず専門家である弁護士までご相談下さい。
事業譲渡のメリット
他社にはない独自の技術を持っており、良い人材もたくさんいる会社があれば、別の会社はこの会社を欲しいと思いますが、もしその会社が債務超過の状態だった場合には、債務も引き受けることになるため決断できないと思います。このようなとき、事業譲渡という方法を使えば、買い手の会社は事業の良い部分だけを譲り受けることができます。そして、売り手のお会社は、譲渡代金で残った負債の一部を返済したあと清算などをします。このようにすることで、今の事業を買い手の会社で続けることができ、従業員の雇用も守ることができます。
事業譲渡のデメリット
権利や義務が当然には移転しませんので、譲受会社は、取引先との契約や従業員の雇用関係、不動産の登記などを一から行う必要があり、また免許や許可なども引き継げませんので注意が必要です。
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